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アフィニトール®錠の効能又は効果(抜粋)は「4.結節性硬化症」です。アフィニトール®分散錠の効能又は効果は「結節性硬化症」です。

監修:大野耕策 先生(鳥取大学名誉教授)

心病変(心横紋筋腫)

疫学と発現時期

結節性硬化症患者の心病変である心横紋筋腫は、胎児期または早期乳児期に発現し、患者の50%に認められます1)。幼児期(3歳くらいまで)に自然退縮することが多いとされています1)2)8)図1、図2)。

図1 心横紋筋腫の発現時期
図2 年齢期ごとの心横紋筋腫の発現率(海外データ)

日本人結節性硬化症患者における心横紋筋腫の発現頻度

日本人結節性硬化症患者106人(男性 45人、女性 61人)に心エコー検査を行った疫学調査3)では、49人(46%)に心横紋筋腫が認められました。心横紋筋腫は10歳未満の患者の半数に認められ、最も頻度が高い年齢期は男女ともに10~19歳で、それ以降、年齢を経るとともに発現頻度は低下しました(図3)。

図3 男女別・年齢期別の心横紋筋腫の発現頻度

病態・症状

心横紋筋腫は、10歳未満の結節性硬化症患者の主な死因とされています4)図4)。多発性と散発性がありますが、約90%が多発性で左心室に多く認められます。多発性の場合、TSCの罹患リスクや出生後に心症状が発現するリスクが高まるといわれています6)
症状は、心雑音が聴取される5)以外は無症状のことが多いですが、①腫瘍が心腔内に突出して血液の流れを遮断する場合、②心筋内の腫瘍が心筋の収縮を障害する場合、③腫瘍が刺激伝導系を障害する場合には、心筋肥大、うっ血性心不全、不整脈、Wolff-Parkinson-White syndromeなどの心症状が生じ、重篤な場合には手術が必要となります。

図4 心横紋筋腫の死亡年齢

検査・診断 

心横紋筋腫は、結節性硬化症の診断に用いられる基準の大症状(結節性硬化症に特異性が高い症状)の一つに挙げられています6)。 乳児期に発見された心横紋筋腫のほとんどが、最終的に結節性硬化症と診断されます。診断基準の詳細はこちらよりご覧下さい。
診断において、胎児期から出生後を通じて第一に超音波検査が適用されます。胎児期に多発性の心横紋筋腫が発見された場合、経時的な超音波検査を行います7)。症状のある患児にはより高度な診断評価が必要となる場合がありますが、無症状の場合は成長とともに退縮していくので1~3年ごとに超音波検査でフォローします7)。検査所見は心筋に埋まった結節様のmassで、しばしば心腔内に突出し、正常心筋に比べエコー輝度が高く均一です5)。 また、初回診断時や、心筋内の伝導系障害が疑われる不整脈がある場合は心電図検査(ECG)を実施します(図5)。

図5

写真 心横紋筋腫 心エコー図1
写真 心横紋筋腫 心エコー図2

ノバルティス ファーマ社内資料
※異なる症例の写真です。

治療

心横紋筋腫は良性腫瘍であり、その治療目標は血行動態の改善および不整脈の寛解となります。自然退縮傾向が強いため、これらの問題がなければ経過観察が可能です8)
日本皮膚科学会の「結節性硬化症の診断基準及び治療ガイドライン」では、心横紋筋腫の治療として下記が推奨されています7)9)

●無症状の場合:退縮が認められるまで1(~3)年に1回の心エコー検査による腫瘍縮小*1のフォロー
●不整脈*2が認められる場合:心電図検査(ECG)によるフォロー、高頻度に高度な診断評価が必要
●重篤な症状*3がある場合:外科手術

*1:加齢とともに縮小消退
*2:洞性頻脈、心室性頻脈、完全ブロック、異所性リズムなど、心筋内の腫瘍による伝導系の障害によると想定される不整脈
*3:心筋肥大、うっ血性心不全、不整脈、Wolff-Parkinson-white syndromeなどの症状を呈し、それが重篤な場合

参考文献
1) Shepherd CW, et al. Mayo Clin Proc 1991; 66: 792-796
2) Umeoka S, et al. Radiographics 2008; 28: e32
3) Wataya-Kaneda M, et al. PLoS ONE 2013; 8: e63910
4) Curatolo P, et al. Lancet 2008; 372: 657-668
5)結節性硬化症の診断と治療最前線.日本結節性硬化症学会編.診断と治療社、2016
6) Northrup H, et al. Pediatr Neurol 2013; 49: 243–254
7) 金田眞理, 他. 日皮会誌 2018; 128: 1-16
8)Smythe JF, et al .Am J Cardiol 1990; 66: 1247-1249
9) 金田眞理, 他. 日皮会誌 2008; 118: 1667-1676

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