結節性硬化症.jp結節性硬化症.jp医療関係者の皆さま
結節性硬化症とアフィニトール®に関する製品サイト

※アフィニトールの結節性硬化症における効能又は効果は「結節性硬化症」です。

てんかん

てんかんの症状と発現時期

結節性硬化症患者において、てんかんはその重症度によってQOLが大きく左右されるため、重要な合併症の一つです。結節性硬化症患者の84%がてんかんを合併しており、てんかん発作は結節性硬化症患者の92%の初発症状である1)ため、初診時の主症状および診断の根拠となることが多い症状とされています2) 図1、図2)。

初発年齢は生後4~6ヵ月で、中でも幼児期のてんかん発作は、結節性硬化症患者の65%以上にみられます3)。乳児期は点頭てんかん(West症候群)が多く、Lennox-Gastaut症候群へと変化することも多いとされています。一般に、4歳以下で高頻度に全般てんかん発作を認めた場合、あるいは治療抵抗性の場合やWest症候群では、発達障害を伴う確率が高いといわれています。

また、TSC1遺伝子変異をもつ症例にくらべて、TSC2遺伝子変異をもつ症例でてんかんを伴う割合が有意に高いと報告されています(p=0.02、t検定)4) 5)

ここでは、てんかんについて解説していきます。発達障害(精神遅滞、自閉症、ADHD)については、こちらをご覧ください。

てんかん発作の種類は多彩で、大多数は症候性の局在関連てんかん(部分てんかん)と、全般てんかんです。小児の3分の2に点頭てんかんが認められています。

また、結節性硬化症に特異的な脳病変(大脳皮質結節SENSEGAを含む)はCTやMRIで観察されます。結節性硬化症のてんかん原性焦点は、大脳皮質結節と考えられており6)、皮質結節の個数の多さ(7個以上)は、点頭てんかんや重篤なてんかんの発症と相関することが示唆されています。特に、結節を伴い早期発症した場合や発作間欠時にてんかん発射(てんかん波、てんかん放電)がみられる場合は、認知機能障害が著しく悪化したり、自閉症や行動障害、てんかん性脳症をきたすことがあります。てんかん発作の発症年齢とともに、側頭葉での皮質結節の存在が、結節性硬化症に行動障害や認知機能障害が合併する一因になると考えられています。

なお、SEGAは、必ずしもてんかんを引き起こすわけではありませんが、SEGAの二次症状である水頭症が、既存のてんかん発作を悪化させる可能性があります。

結節性硬化症のてんかんは特に重篤で、薬物療法や外科的切除を施行しても改善されない難治例が多く認められます。てんかん重積発作は生命予後にかかわり、てんかん発作を死因とする死亡はほとんどが幼児期から40歳未満となっています7)図3)。

図1 てんかん発作の発現時期
図2 年齢期ごとのてんかんの発現率
図3 てんかん重積発作の死亡年齢

結節性硬化症に伴うてんかんの診断・検査・治療

てんかんの検査には、脳波検査(EEG)が用いられます。

結節性硬化症に伴うてんかんの治療目標は、できるだけ早い段階で診断し、二次的な発達障害に至らないように、発作を良好にコントロールすることにより、生活の質を向上させることです。結節性硬化症患者の治療フォローにあたっては、小児神経科医と連携して取り組むことが大切です。

てんかん発作の治療には、抗てんかん薬、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、hydrocortisoneが用いられます。

また、結節性硬化症の点頭てんかんや部分発作に、vigabatrin(2013年12月現在、本邦未承認)が有効であると報告(Aicardi,1996, Hancock, 1999)されています。日本皮膚科学会の「結節性硬化症の診断基準および治療ガイドライン」1)においても、vigabatrinはWest症候群の治療薬として推奨されていますが、視野狭窄の副作用が懸念されています。

薬物治療に抵抗性の難治症例には、PETや脳磁図にMRIを組み合わせて、てんかん焦点を同定し、外科的切除やガンマナイフによる治療が行われます。

さらに、2010年7月1日には難治性てんかんに迷走神経刺激療法が保険適用となり、治療法の選択肢が増えました。

その他には、ケトン食などの食事療法が行われることがあります。

日本人結節性硬化症におけるてんかんの発現頻度

2013年に報告された、日本人結節性硬化症患者166人を対象とした疫学調査10)によると、てんかん*1の発現頻度は63%、このうち難治性てんかん*2は20%で、既報にくらべいずれも有意に低頻度でした(*1:p=0.0005、*2:p<0.0001、χ2検定)。年齢期別にみると、てんかん*3、難治性てんかん*4のいずれも年齢とともに発現頻度が有意に低下しました(*3:p=0.0006、*4:p=0.004、χ2検定、図4)。また、男性(54人、77%)で女性(51人、53%)にくらべ有意に発現頻度が高いことが示されました(男性p=0.0159、女性p=0.0395、χ2検定)。

図4 年齢期別のてんかんの発現率図4 年齢期別のてんかんの発現率図4 年齢期別のてんかんの発現率

難治性てんかん、自閉症/自閉症スペクトラムと精神遅滞の関係

前述の日本人結節性硬化症患者166人の疫学調査9)によると、精神遅滞の重症度が高いほど、難治性てんかんと自閉症/自閉症スペクトラム障害を有する割合が高く、有意な相関が示されました(p<0.001、χ2検定、一般化ロジスティックモデル)(図5)。

図5 難治性てんかんおよび自閉症/自閉症スペクトラム障害と精神遅滞の関係

参考文献
1) 結節性硬化症の診断基準・治療ガイドライン作成委員会; 金田眞理, 他. 日皮会誌 2008; 118: 1667-1676
2) Curatolo P, et al. Lancet 2008; 372: 657-668
3) 難病情報センター ホームページ(2013年12月現在)
4) 大野耕策. 日小児会誌 2002; 106: 1556-1565
5) Dabora SL, et al. Am J Hum Genet 2001; 68: 64-80
6) Nabbout R, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 1999; 66: 370-375
7) Shepherd CW,et al. Mayo Clin Proc 1991;66: 792-796
8) Curatolo P, et al. Eur J Paediatr Neurol 2012; 16: 582-586
9) Wataya-Kaneda M, et al. PLoS ONE 2013; 8: e63910

監修:鳥取大学名誉教授 大野耕策 先生

ページの先頭へもどる