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※アフィニトールの結節性硬化症における効能又は効果は「結節性硬化症」です。

その他の腎病変(腎嚢胞、多発性腎嚢胞、腎細胞癌)

その他の腎病変と発現時期

結節性硬化症の腎病変としては、様々なタイプの病変が報告されています。結節性硬化症の腎病変(図11)には、腎血管筋脂肪腫(腎AML)、腎嚢胞、腎細胞癌があります。2013年に報告された、日本人結節性硬化症患者166人を対象とした疫学調査1)によると、腎病変を有する割合は全体で71%、既報と同程度の発現率でした。腎AMLが最も多く認められますが、ここでは、それ以外で結節性硬化症に特徴的に認められる腎嚢胞と腎細胞癌について紹介します。腎AMLについては、こちらをご覧ください。

図1 年齢期別の腎病変の発現率

1.腎嚢胞(renal cyst)

結節性硬化症では、1つあるいは多発性の腎嚢胞が認められることがあります。
初発年齢は、小児期です。
通常は無症候性ですが、腫瘤が大きくなると腎機能障害や高血圧の原因になることがあり、場合によっては透析治療が必要になることもあります。


日本人結節性硬化症患者における腎嚢胞の発現頻度

日本人結節性硬化症患者166人を対象とした疫学調査1)によると、腎嚢胞の発現頻度は28%でした。
腎AMLで報告されている、思春期に急速に大きくなるという特徴とは異なり、腎嚢胞は年齢期別にみても、どの年齢期においてもほぼ同じ頻度で発現していました(図2)。

写真 腎嚢胞 画像

Reproduced, with permission, Umeoka S, et al. RadioGraphics 2008; 28: e32
ノバルティス ファーマ社内資料

図2 年齢期別の腎嚢胞の発現率

2.多発性腎嚢胞(multiple renal cysts)

多発性腎嚢胞は、腎嚢胞の重度の表現型で結節性硬化症患者の約2%に併発するといわれる予後の悪い疾患で、結節性硬化症の診断基準に用いられる修正Gomez基準の小症状の一つに挙げられています。
両側の腎臓に嚢胞が無数に生じる遺伝性疾患で、PKD1(polycystic kidney disease type1)遺伝子の関与も考えられています2) 3)
PKD1遺伝子は、TSC2遺伝子と近接して存在するため同時に欠失することがあり、その場合、結節性硬化症の臨床症状に加え、乳児期から早発性の多発性腎嚢胞が発現することや多発性腎嚢胞の合併症である肝嚢胞性病変や動脈瘤などが起こることがあり、注意を要します。
また、嚢胞の進行性肥大が腎実質を圧迫して、腎不全に至り透析治療が必要になる場合もあります。

写真 多発性腎嚢胞 画像

ノバルティス ファーマ社内資料

3.腎細胞癌(renal cell cancer: RCC)

結節性硬化症に伴う腎腫瘍は、良性腫瘍である場合がほとんどですが、時に腫瘍の増大に伴い、その一部より悪性腫瘍(腎細胞癌:renal cell cancer, RCC)が発現することがあります(結節性硬化症患者での発症率は5%未満)。多くは腎AMLと混在し、両側性、多発性に発現します。
結節性硬化症におけるRCCは、一般のRCCの罹患年齢よりも若年で発現しやすいとされています4)。また、結節性硬化症に伴うRCCと、一般のRCCの罹患率は同等と報告されています。

日本泌尿器科学会『腎癌診療ガイドライン2011年版』5)によると、遠隔転移のない腎細胞癌には原則として外科的切除が適用されます(図3)。その他、薬物療法(分子標的薬、免疫療法)、放射線療法が行われます。

図3 腎癌診療のアルゴリズム

写真 腎細胞癌 画像

Reprinted with permission from John Wiley and Sons.
ノバルティス ファーマ社内資料

参考文献
1) Wataya-Kaneda M, et al. PLoS ONE 2013; 8: e63910
2) Umeoka S, et al. Radiographics 2008; 28: e32
3) Cheadle JP, et al. Hum Genet 2000; 107: 97-114
4) Crino PB, et al. N Engl J Med 2006; 355: 1345-1356
5) 日本泌尿器科学会. 腎癌診療ガイドライン2011年版, 金原出版

監修:鳥取大学名誉教授 大野耕策 先生

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